システム開発の現場で、こんな疑問を抱いたことはありませんか?「要件定義書は、依頼側がある程度まとめてから渡すのが普通じゃないの?」「まさか、口頭で聞いたことをエンジニアが全てドキュメントに起こすの?」
そして、そんなあなたの疑問に対して、「普通はエンジニアが全て書くものです」という、あまりにも画一的な回答にモヤモヤした経験をお持ちかもしれません。もしかしたら、「ちょっと質問者舐めすぎでしょ」と感じたこともあるのではないでしょうか。
結論からお伝えしましょう。そのモヤモヤは、決して間違いではありません。 要件定義の責任は、「誰か一人」に押し付けられるほど単純なものではなく、プロジェクトの規模、顧客のITリテラシー、開発手法など、実に多くの要因によって最適な形が異なります。そして、依頼側(顧客)からのインプットを最大限に活用することこそが、プロジェクト成功への鍵を握ると言っても過言ではありません。
この記事では、「要件定義は誰が書くべきか」という長年の議論に終止符を打ち、現場のリアルと理想を徹底的に解説します。エンジニアとしてのあなたの役割、顧客との最適な協業方法、そしてプロジェクトを成功に導くための具体的なアプローチまで、深く掘り下げていきましょう。
「要件定義はエンジニアが全て書く」は本当に正しいのか?
「普通はエンジニアが全て書くものだ」という意見を耳にすると、多くのITエンジニアは「本当にそうか?」と疑問に感じるはずです。特に、経験を積めば積むほど、現場の多様性とこの一言の乖離に直面します。では、なぜこのような意見がまことしやかに語られるのでしょうか?そして、それがなぜ、現場のエンジニアにとって不満となるのでしょうか?
現場のリアル:多様化するプロジェクトの現場
システム開発プロジェクトは、もはや画一的なものではありません。新規事業の立ち上げを少人数で行うスタートアップから、大規模な基幹システム改修を行うエンタープライズまで、その内容は多岐にわたります。
- スタートアップ企業の新規サービス開発:
- 依頼側(事業責任者)はビジネスアイデアと熱意に満ち溢れているが、技術的な知識は乏しいことが多い。
- スピード感が重視されるため、綿密なドキュメント作成よりも、プロトタイピングや短いサイクルでのフィードバックが優先される傾向にあります。
- この場合、エンジニアがヒアリングを通じてビジネス要件を汲み取り、それを技術要件に落とし込む作業の比重は大きくなります。
- 既存システムの改修・機能追加:
- 依頼側には現行システムの知識があり、具体的な変更点や追加機能を明確に持っていることが多い。
- 既存の運用や業務フローに精通しているため、依頼側が一次情報を整理する方が効率的なケースが多数存在します。
- この状況で「全てエンジニアが書き起こす」となると、かえって二度手間になり、認識齟齬のリスクも増大しかねません。
- 専門性の高い業界特化型システム開発:
- 医療、金融、製造など、特定の業界知識が不可欠なシステムでは、依頼側が持つ業務知識はエンジニアにとって不可欠な「宝」です。
- エンジニアは技術のプロですが、業務のプロではありません。依頼側が自身の業務をドキュメント化して共有することで、エンジニアはより早く、深く、その業務を理解することができます。
このように、プロジェクトの特性や顧客のITリテラシー、ビジネスフェーズによって、要件定義の進め方や「誰が書くか」の最適なバランスは大きく変わるのです。「普通はエンジニアが全て書く」という意見は、この現場の多様性を無視した、あまりにも視野の狭い見方と言えるでしょう。
なぜ「エンジニアが全て書く」という意見が出るのか?
では、なぜ「エンジニアが全て書く」という意見が根強く存在するのでしょうか?その背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 顧客側のITリテラシー不足への対応:
- 多くの顧客は、自身のビジネスは理解していますが、それをシステム要件として整理する技術的知識や経験が不足していることがあります。
- この場合、エンジニアが専門知識をもってヒアリングし、技術的に実現可能な形で要件に落とし込む必要があるため、結果的にエンジニアがドキュメントを作成することになります。
- 品質と責任の担保:
- 要件定義書は、開発契約のベースとなり、最終的な成果物の品質を左右する非常に重要なドキュメントです。
- 開発側が責任を持ってドキュメントを作成し、顧客と合意形成することで、後々の手戻りやトラブルのリスクを低減するという意図があります。
- エンジニアが記述することで、技術的実現可能性を考慮した要件に変換しやすいという側面もあります。
- 慣習とスタンダード:
- 過去の多くのプロジェクトにおいて、開発側が要件定義書の作成を主導してきた慣習があるため、それが「普通」として認識されている場合があります。
- 特にウォーターフォール開発では、設計に入る前に要件を完全に確定させる必要があり、その重責を開発側が担うケースが多く見られました。
これらの理由は、決して間違いではありません。しかし、これはあくまで一側面であり、全てのプロジェクトに当てはまる「絶対的な正解」ではないのです。質問者の方々が感じる不満は、まさに「現場のリアルを無視した画一的な押し付け」に対する健全な反発だと言えるでしょう。
依頼側が要件定義に「参加」する、という考え方
「要件定義は依頼側がまとめるのはおかしいか?」という疑問に対し、私たちの答えは明確です。決して「おかしく」ありません。むしろ、積極的に「参加」してもらうことで、プロジェクトはより成功に近づきます。
依頼側からのインプットがプロジェクトにもたらすメリット
依頼側が要件定義に積極的に関与し、自身のビジネス要件を整理して提供することには、開発側にとってもプロジェクト全体にとっても計り知れないメリットがあります。
- 認識齟齬の低減と手戻りの削減:
- 依頼側が一次情報を整理することで、「本当に欲しかったもの」と「実際にできたもの」のギャップを最小限に抑えることができます。
- 口頭でのヒアリングだけでは伝わりにくいニュアンスや、依頼側自身も気づいていなかった潜在的な要望が、ドキュメント化のプロセスで顕在化しやすくなります。
- これにより、開発終盤での大規模な手戻りを防ぎ、プロジェクト全体のコストと時間を大幅に削減できます。
- ビジネス価値の明確化:
- 依頼側が自ら要件を整理する過程で、「なぜこの機能が必要なのか」「この機能がもたらすビジネス上の価値は何か」を深く考えるきっかけになります。
- これにより、漠然とした要望ではなく、目的意識の明確な要件が提示されやすくなり、エンジニアも本質的な課題解決に集中できます。
- エンジニアのヒアリング負担軽減と専門性発揮:
- 依頼側が基礎的なビジネス要件をまとめてくれることで、エンジニアはゼロから全てを聞き出す負担が軽減されます。
- その分、エンジニアは技術的な実現可能性の検討、最適なアーキテクチャの提案、よりユーザーフレンドリーなUI/UXの提案といった、本来の専門性を発揮することに注力できます。
- 例えるなら、プロの料理人(エンジニア)が、お客様(依頼側)から「こんな味のパスタが食べたい」という漠然としたオーダーだけでなく、手書きの材料メモや、どんなシチュエーションで食べたいかというストーリー(簡易ドキュメント)を受け取った時、より深い洞察と最高の料理を提供できるのと同じです。
- プロジェクトへのオーナーシップ向上:
- 自らドキュメント作成に関わることで、依頼側はプロジェクトに対する当事者意識(オーナーシップ)を強く持つようになります。
- これは、後のテストフェーズや運用フェーズでの協力体制にも良い影響を与え、パートナーシップの構築につながります。
依頼側が簡易ドキュメントを作成する際のポイント
「依頼側もドキュメントを作るべきだ!」と言っても、いきなり完璧な要件定義書を求めるのは現実的ではありません。あくまで「簡易ドキュメント」として、以下のポイントを意識してもらうと良いでしょう。
- 目的と背景:
- 「なぜこのシステム(機能)が必要なのか?」というビジネス上の目的を明確にする。
- 現状の課題、解決したいこと、実現したい未来を具体的に記述してもらう。
- スコープ(範囲):
- 今回のプロジェクトで「何を対象とするか」「何は対象外か」を大まかに定める。
- 「いつまでに」「どこまで」を明確にすることで、開発側も全体のイメージを掴みやすくなります。
- 主要な機能一覧:
- 実現したい機能を箇条書きレベルで良いので羅列してもらう。
- 「誰が(ユーザーロール)」「何を(機能)」といった形で整理すると、より分かりやすくなります。
- 優先順位:
- 全ての要望が一度に実現できるとは限りません。どの機能が「必須」で、どれが「あれば嬉しい」のか、優先順位をつけてもらうことで、開発のロードマップを立てやすくなります。
- 参考資料や現状の業務フロー:
- 既存のシステム画面のスクリーンショット、手書きの業務フロー図、参考になる他社サービスのURLなど、イメージが共有できる素材を提供してもらう。
エンジニアは、依頼側がこれらの情報をまとめやすいように、シンプルなヒアリングシートやテンプレートを提供したり、必要に応じて一緒にブレインストーミングを行うなど、積極的にサポートする姿勢が求められます。
要件定義を「共創」する:エンジニアと顧客の理想的な役割分担
「普通はエンジニアが全て書く」という固定観念を捨て、依頼側と開発側が「共に創り上げる(共創)」という視点に立つことで、要件定義の質は劇的に向上します。では、その中でエンジニアはどのような役割を担い、顧客とどのように連携すれば良いのでしょうか?
エンジニアが担うべき「プロデューサー」としての役割
システム開発におけるエンジニアは、単に顧客の要望をコードに落とし込む「作業者」ではありません。顧客のビジネス課題を深く理解し、技術的視点から最適な解決策を導き、それを形にする「プロデューサー」としての役割を担うべきです。
このプロデューサー的視点において、要件定義フェーズでのエンジニアの役割は以下のようになります。
- ファシリテーターとしての傾聴と引き出し:
- 依頼側の言葉の裏にある「真のニーズ」を見抜く洞察力と、それを引き出す質問力(ヒアリング力)が求められます。
- 顧客の口頭での説明や簡易ドキュメントを、論理的かつ網羅的に整理し、具体化するための対話をファシリテートします。
- ビジネスと技術の翻訳者:
- 依頼側のビジネス要件(「何をしたいか」)を、エンジニアが理解できるシステム要件(「どう実現するか」)へと翻訳します。
- 同時に、技術的な制約や可能性を、依頼側にも分かりやすい言葉で説明し、認識のギャップを埋める役割も果たします。
- 課題解決の提案者:
- 依頼側の要望をただ聞くだけでなく、その背景にある課題を深掘りし、技術的な知見からより良い解決策や代替案を積極的に提案します。
- 例えば、「この機能は技術的に可能ですが、より効率的な別のアプローチがあります」といった形で、顧客の期待を超える価値を提供します。
- ドキュメントの最終的な責任者:
- 依頼側からのインプットを最大限に活用しつつ、最終的な要件定義書としてまとめる責任はエンジニア(またはプロジェクトマネージャー)が負います。
- ここでの「書く」という行為は、ゼロから全てを書き起こすのではなく、顧客のインプットを構造化し、抜け漏れがないかを確認し、技術的な妥当性を加えて洗練させる、という質の高い作業を意味します。
登山ガイド(エンジニア)は、クライアント(依頼側)が「エベレストに登りたい」と望むなら、その意図(ビジネス要件)を深く聞き出し、ルート(システム設計)、装備(機能)、体力(予算/期間)を考慮した計画(要件定義書)を立てるプロです。しかし、もしクライアントがベテラン登山家で、自分で地図にルート案(簡易ドキュメント)を書き込んで持ってきたら、それを活用しない手はありません。共同で最適なルートを見つけるのが最良なのです。
顧客との対話で要件定義の質を高める具体的なHOW
要件定義を共創するためには、顧客との密な対話と協力が不可欠です。以下に具体的なアプローチをいくつかご紹介します。
- 初期合意の形成:
- プロジェクト開始時に、顧客と開発側で「誰がどのレベルまで要件を定義し、ドキュメント化するか」を明確に合意します。
- 「依頼側にはここまで協力してほしい」という期待値を最初に共有することで、後々の認識齟齬を防ぎます。
- 共同ワークショップの実施:
- 顧客とエンジニアが参加するワークショップ形式で、要件の洗い出しや優先順位付け、プロトタイピングのフィードバックなどを共同で行います。
- ホワイトボードや付箋を使いながら、その場で認識を可視化・共有し、ドキュメントの骨子を固めるのに非常に有効です。
- 段階的ドキュメンテーション:
- 最初から完璧なドキュメントを目指すのではなく、まずはビジネス要件の概要を共有し、そこから徐々に詳細なシステム要件へと落とし込んでいく段階的なアプローチを取ります。
- 顧客には「何をしたいか」というビジネス要件の整理を促し、エンジニアはそれを「どう実現するか」というシステム要件に変換する役割分担を明確にします。
- プロトタイピングとフィードバック:
- UIデザインのモックアップや、主要機能の簡易的なプロトタイプを早期に作成し、顧客からフィードバックをもらいます。
- 動くものを見せることで、口頭やドキュメントだけでは伝わりにくいイメージを具体化し、手戻りを大幅に減らすことができます。アジャイル開発の「動くソフトウェアを優先する」という原則にも通じる考え方です。
- 議事録やホワイトボードの活用:
- 口頭でのヒアリングや会議の内容は、必ず議事録として残し、顧客と共有して合意形成を行います。
- 会議中にホワイトボードで図解したり、マインドマップを作成したりして、その場で認識を可視化する習慣も非常に有効です。
これらのアプローチは、顧客とエンジニアが「発注側」「受注側」という関係に留まらず、「共に価値を創造するパートナー」として協力し合う文化を組織全体で育むことにもつながります。
プロジェクト成功のための要件定義戦略
要件定義の成功は、プロジェクト全体の成否を左右します。単に「誰が書くか」という表面的な議論に終始するのではなく、開発手法の特性を理解し、コミュニケーションを最適化する戦略が必要です。
ウォーターフォールとアジャイル:開発手法ごとのアプローチ
システム開発には、主に「ウォーターフォール開発」と「アジャイル開発」という2つの大きな流れがあります。それぞれで要件定義へのアプローチが異なります。
- ウォーターフォール開発:
- 特徴: 要件定義、設計、実装、テスト、運用の各フェーズを順に進めていく、伝統的な開発手法です。
- 要件定義の役割: プロジェクトの初期段階で、全ての要件を網羅的かつ詳細に確定させることが求められます。後工程での手戻りを避けるため、非常に厳密なドキュメント作成と合意形成が必要です。
- 「誰が書くか」の視点: 開発側(エンジニアやPM)が主導して詳細な要件定義書を作成し、顧客との間で「開発対象はこれである」という合意を得るのが一般的です。ただし、この場合でも顧客からの詳細なインプットは極めて重要であり、顧客は「詳細なレビューとフィードバック」という形で参加責任を負います。
- アジャイル開発:
- 特徴: 短い開発サイクル(イテレーション)を繰り返し、開発途中で顧客からのフィードバックを積極的に取り入れながら、柔軟にシステムを作り上げていく手法です。
- 要件定義の役割: 最初から全ての要件を詳細に確定させるのではなく、大まかな要件(エピック、フィーチャー)からスタートし、イテレーションごとに具体的な要件(ユーザーストーリー)を定義・洗練させていきます。
- 「誰が書くか」の視点: 顧客(プロダクトオーナー)がビジネス要件を継続的に提示し、開発チーム(エンジニア)と密に連携しながら、具体的なユーザーストーリーを作成・詳細化していく「共創」が前提となります。ドキュメントも、必要最小限で、常に最新の状態を保つことを重視します。「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」「契約交渉よりも顧客との協調を」というアジャイルマニフェストの原則が、この協業の姿勢を強く表しています。
このように、どちらの開発手法を採用するかによって、「要件定義 誰が書く」という問いに対する最適な答えは変わってきます。プロジェクト開始前に、どちらの手法が適しているかを判断し、それに合わせた役割分担とドキュメンテーション戦略を立てることが肝要です。
失敗しない要件定義のための初期合意とコミュニケーション
要件定義のフェーズで失敗しないためには、開発手法にかかわらず、初期の段階で顧客との間で明確な合意を形成し、その後の密なコミュニケーションを継続することが不可欠です。
- 契約・SLAの見直し:
- 要件定義のフェーズにおける双方の責任範囲、成果物の定義、変更管理プロセスを契約書やSLA(サービスレベルアグリーメント)に明記し、法的・業務的な裏付けを持つことが重要です。
- 「依頼側は、〇〇レベルのビジネス要件を記述したドキュメントを提出する」「開発側は、それを基にシステム要件を定義し、要件定義書を作成する」といった具体的な取り決めを交わしましょう。
- 期待値のすり合わせと役割定義:
- プロジェクト開始時に、各メンバー(顧客側の担当者、エンジニア、PMなど)の役割と責任、期待する貢献内容を明確に定義し、全体で共有します。
- 「顧客はビジネスの専門家として、ビジネス要件を具体的に説明する」「エンジニアは技術の専門家として、技術的実現可能性を評価し、最適なシステム構成を提案する」といった認識を合わせます。
- 定期的な進捗報告とフィードバックループ:
- 要件定義の途中段階でも、定期的に進捗を報告し、顧客からのフィードバックを求める機会を設けます。
- 特に重要なのは、「言った、言わない」のトラブルを避けるために、合意事項は必ず文書化し、双方で確認・承認するプロセスを踏むことです。認知バイアス(確証バイアスなど)によって、人は自分に都合の良いように情報を解釈しがちなので、客観的な記録は非常に重要です。
- 信頼関係の構築:
- 最終的には、顧客とエンジニアが互いを尊重し、信頼し合う関係を築けるかどうかが、要件定義の成功を大きく左右します。
- 「共に価値を創造するパートナー」としての意識を持つことが、最適なコミュニケーションと協業の土台となります。
「最初の段階で要件が完全に決まっていたプロジェクトは、成功しない」というプロジェクトマネジメントの古典的なジョークがあるように、要件は生き物であり、対話を通じて洗練されていくプロセスが重要です。固定観念にとらわれず、柔軟かつプロアクティブな姿勢で顧客と向き合うことが、エンジニアとしてのあなたの価値を高めます。
【まとめ】「誰が書くか」よりも「どう協創するか」が重要
「要件定義はエンジニアが全て書くべきか?依頼側がまとめるのはおかしいか?」 この問いに対する私たちの回答は、「『誰が書くか』ではなく、『誰とどう協創するか』がプロジェクト成功の鍵を握る」です。
システム開発における要件定義は、まさに「家づくり」に例えられます。施主(依頼側)が「こんな暮らしがしたい」「この場所にこんな部屋が欲しい」と希望を伝える(ビジネス要件)。設計士(エンジニア)はそれを安全で快適な図面(システム要件)に落とし込みます。施主が理想のイメージやスケッチ(簡易ドキュメント)を積極的に提供すれば、より施主の意向に沿った、かつプロの視点から改良された家が建つでしょう。
依頼側が持つビジネスの一次情報と、エンジニアが持つ技術的な知見。この二つの強みを最大限に活かし、密な対話と協力体制を築くことこそが、認識齟齬を防ぎ、手戻りを減らし、最終的により高品質なシステムを生み出す最短ルートなのです。
もしあなたが「普通はエンジニアが全て書く」という言葉にモヤモヤを感じているなら、それはあなたが現場のリアルと本質を見抜く力を持っている証拠です。これからは、その健全な疑問を原動力に、顧客との「共創」をリードするプロデューサーとして、要件定義の新たなスタンダードを築いていきましょう。
さあ、今日からあなたは、要件定義を「書かされるもの」から「共に創り上げるもの」へと変革する一歩を踏み出せるはずです。あなたのプロジェクトが、最高のシステムと最高のパートナーシップを生み出すことを心から願っています。

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